守屋 美加 展/時間/2023年10月9日 – 14日
Steps Gallery Criticism by MIYATA Tetsuya
守屋ステップスギャラリーで二年連続、二回目の個展。昨年度は守屋の不思議な世界を味わうことができた。今年はその不思議さが、静謐な空間に収まったように見えた。波や彩、光の波長や粒子、移ろう空気感や呼吸。様々に展開しているが、決してミニマルな絵画ではない。むしろ対象の、その微妙な差異から当たり前に見える現象の位相が引き出されている感がある。
守屋のステイトメントを引く。「陽の移ろいは、美しい/その光景は、刻一刻と変化する/太陽がつくる美しさは、追いかけても全く追いつくことができない/それは過ぎていく時間をおいかけているようなものだから/まさに陽の移ろいは、時間そのもの/太古の人類が、太陽の光を時計にしていたように/そして、時間が内包するものは、生と死だといえるだろう/私たちは、生きていながらにして刻一刻と死へ向かっている/今、この時間を味わい陽の移ろいに目をやる間を/持ち続けていたいと思う」
守屋はここで、詩的にも、唯物論的にも、日常的にも、冷徹にも語っていない。当たり前に、自らが感じていることを、そのままに書きとめているのではないだろうか。ここにこそ一つの真実がある。そして、作品への動機がある。
守屋の心の襞が見ている現実が、そのまま作品へと流れていくのである。それはこれまでの守屋と同様であることが、今回の作品を見て私は理解した。守屋は常に自分のことだけを描いているのではなく、自らの外の世界との対話を繰り広げているのだ。自己があってもなくとも、対話をしようとしなければならないのだ。作品とは、常に開かれた状態であるべきだろう。
(2023年10月14日初見・2024年1月5日記)