Steps Gallery

ステップスギャラリー 銀座

対抗

ZANE 展/Lost and Found/2023年12月4日 – 9日

Steps Gallery Criticism by MIYATA Tetsuya

ZANEは、1993年東京生まれ。2017年、武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科テキスタイル専攻卒業。ステップスでも展覧会を行っている鈴木純子に習った。2022,3年のステップスギャラリーのグループ展に参加、2023年夏にはThe Blank GALLERYのグループ展にも参加している。今回が、初個展。本名は廣實優(ひろざねまさる)。ZANEはゼインと読む。

以下、吉岡のブログから引用する。「紙に墨で描いたドローイングが多いのだが、テキスタイル出身ということもあって、泥染や煤染もある。伝統的な素材を使っているが、モチーフはポップな形象が多いのは、やはり若いのである」。ZANEはSNSを用いて、個展の宣伝に励んだが、やはり写真ではテクスチャーを読み解くことができない。実際に見るべきである。

吉岡は「ポップ」と語ったが、私は敢えてZANEの作品を「スーパーリアリズム」と称そう。感情を排し、機械的な視線を対象に注ぐことによって、リアリズムの超克を目指したスーパーリアリズムだが、ZANEの場合、そうすればすれる程、ZANEという人間が炙り出されていってしまう。それは決して、欠点ではない。そう「なってしまう」点について、価値を見出せばいい。

ZANEは、全く描いていない。印刷している=染めているのだ。描くことが、総てではない。描くことに憧れがあろうとも、自らが学び、切り拓いてきた技術と思想を、洗練すればいいだけのことだ。そこにフェイクや裏切りを含ませる必要など、ナンセンスである。そのような時代だからこそ、それに対抗するだけであろう。そのゆくえを、ZANEは携えている。

(2023年12月5日初見・2024年2月16日記)

03-6228-6195