いつまでも同じような作品を作り続ける作家を「伝統工芸」じゃん、と揶揄したのは、笠間焼の藤本均定成だったが、変わり続けるアヴァンギャルドたるべき現代美術が、正反対の工芸になり果てたのは(工芸に対して失礼な言い方ながら)なぜなのか。ぶれないで「一貫した」姿勢を評価する風潮や、みんな適当な「いいね」でごまかす世の中のせいもあるだろうが、わたしは、批評の影響もあるだろうと見ている。つまり現在、批評が存在していないということなのだ。これがいちばんの問題ではないかと思う。美術手帳も無きに等しいし、新聞紙面から「美術」は消えた。批評がないと、作家は「このままでいいんだな」と錯覚するのである。
