IZUMI 展/merry – GO – round/2023年7月24日 – 29日
Steps Gallery Criticism by MIYATA Tetsuya
IZUMI(1974-)、ステップスギャラリー6年ぶり二度目の個展である。2017年の私の評の一部を再録する。「IZUMIが描く世界は、事物が生きる瞬間でもあり永続でもある。昔あっても今はないが、今あっても未来にないかもしれない。昔あったという確証はできないが、今あればこれまでもあることになってしまう」。今回私は、それ以上に生と死を作品から感じた。
「大人の絵画と子供の絵が入り混じっている」作品は2017年にも「一枚」あった様子だが、今回の展覧会では、画廊内の作品の殆どがそれだ。前回よりも「大人の絵画」は更に具象性を増し、「子供の絵」は稚拙さが増している。更に「中学生のラクガキ」のような、どちらにも当て嵌まらない画風が登場しているような気がする。ヴァリエーションが増しているのだ。
人間とは都合の良い生き物で、自分に都合が良いものや、好きなものしか眼に映らないから、それぞれを無視して見ることもできる。しかし私はそうは出来ないから、その三つが同時に瞳の中に飛び込んでくる。すると、前回に感じた「生きる瞬間」と「永続」といった両義的な内容だけではなく、その中間とその前とその先が見えてくる。
しかしながら、村上隆が標榜する「生と死の混在」ではなく、かといって単なる人間のライフスタイルの意向だけではない、何かもっと別の次元のものを感じるのである。それは、背景に組み込まれている幾何学図が、まるでエッシャーのだまし絵のように迫ってくることと無関係ではない気がする。地と図の関連性。そう考えると、ここにあるのは「絵画」なのだ。
(2023年7月28日初見・2024年1月5日記)