木工男子 展/2023年9月27日 – 10月7日
Steps Gallery Criticism by MIYATA Tetsuya
本展はステップスギャラリーオーナー、吉岡まさみの企画である。「男子」といっても相澤秀人、勝田徳朗、菅沼緑、前田精史は既にヴェテランだし、木下敦也、槙野央が若いといっても「BOY」にはほど遠い、苦笑。しかしこの6人に共通するのは、作品が異常なまでに「若い」ことだ。実年齢など、どうでもよい。大切なのは、気持ちの問題なのである。相澤秀人は、いつも同じことをしない。どうやったらこのように木が曲がるのだろうかという疑問より、その単純性と複雑性、着色による印象の変化が楽しい。勝田徳朗は、いつも通りである。だからこそそこにある主張の形成と変容を感じることができる。実は勝田の作品は常に変化を遂げている。それが垣間見れるグループ展であった。菅沼緑の作品もまた、いつも通りの矩形であるが、個体としての形象というよりも、空間との鬩ぎ合いを、私はこのグループ展で発見することができた。前田精史もまた、旺盛に制作を続けている。今回の新作は鉄ではなく木だからというよりも、前田の無尽な形に対するイメージの膨らみを私は感じた。横浜アトリエKアートスペースで巨大な飛行機の作品を発表したばかりの木下敦也は、プロペラの小品を出品した。そのおかげで、木下は大きさに関係なく実力を発揮できることが分かった。槙野央もまたステップスで個展を終えたばかりだが、今回は地下鉄銀座線A-10を模した。槙野がキャプションに書いている通り、こういう印象だったが、入り口は改装され、別のものになった。何れの位相は、やはりキュレーションによって引き出された。木工男子、万歳。作り続けて下さい。
(2023年9月28日初見・2024年1月5日記)