平塚良一 -裏から表へ-
吉岡まさみ 22歳から30歳までパリに留学していた平塚良一は、アパートに一人暮らしだった。フランスで美味しかったものは?と訊くと、キャベツなどの野菜とソーセージ、塩漬けの豚肉などを煮込んだシュークルートという素朴な料理、と答えるのだが、ほとんどは自炊で、ご飯を炊いて日本食を食べていた。フランス料理には染まらなかったようだが、美術作品に関しては様々な作品を味わい、影響を受けた。特に平塚の心を捉えたのが、シュポール/シュルファスという絵画運動だった。シュポールは支持体、絵画でいうとキャンバスや紙、シュルファスは表面という意味で、絵の具に当たるだろう。支持体に絵の具を塗ると表面が出来、絵画になると…